top of page

 このページの前半には、「ラテン語省略形」で用いた参照文献や閲覧上の注意事項を掲載しています。最初にそちらをご確認ください。また後半には、Abbreviation および Allegation にかんして有益な情報を与えてくれる辞典・参考文献を(現在入手可能なものを中心に)掲げておきました。併せてご参照いただければ幸いです。

最終更新日 2022年07月11日(月)

 * 「ラテン語省略形」に掲載の abbreviation のリストは各種の辞典を参照したり、同一著作(おもに1550年以降に刊行された註釈書)の複数の版を比較しながら作成したものですが、私の理解不足に起因する多くの誤りも含まれていると思います。また、誤りを発見した場合は特に断りなく訂正いたします。その旨あらかじめご了承ください。

 

 * 省略形にはさまざまな記号(直線や波線など)が使用されていますが、フォントの都合上、リストではそうした省略記号がほとんど再現されていません。省略記号の有無については各省略形のあとに付したカッコ書きを参照してください。

 

 * 可能なかぎり実例を示すために、Googleブックスで無料公開されている註釈書(すべて当サイト内の「中近世の法学者」からアクセス可)から当該単語のみを切り取って転載しています。画像にカーソルをあわせれば、出典が表示されるようになっています(旧サイトでは、テキストを3行抜粋して、省略形が2行目に現れるようなかたちで掲載していましたが、この新サイトでは簡易なものに改めました)。

 

 * 各項目末に青字で付した [CAP], [SEC] などの略称は以下の辞典などを意味します。例えば [CAP] 137 r.9 は Cappelli の辞典の137頁の右列 (r.) の上から9番目の文字を指示します(左列は l.)。なお、2列組になっていない通常の文献は頁数のみを記しています。

 

  [CAP] A. Cappelli, Lexicon Abbreviaturarum: Dizionario di Abbreviature Latine ed Italiane, 7. ed. (Milano, 2011)

  [KAN] H. Kantorowicz, "Die Allegationen im späteren Mittelalter" in: Archiv für Urkundenforschung, 13 (1935)

  [SEC] E. Seckel, “Paläographie der juristischen Handschriften des 12. bis 15. und der juristischen Drucke des 15. und 16. Jahrhunderts,” Zeitschrift der Savigny-Stiftung für Rechtsgeschichte (Romanistische Abteilung), 45 (1925), S.1-16.

 

 * ただし、当サイトのリストには原則として私が註釈書などで実際に見かけた省略形を掲載していますので、辞書に掲載されている省略形と完全に一致するとは限りません。なお、省略形の辞典などについては、以下の記述もご参照ください。

◆ Abbreviation の辞典について
  [1] A. Cappelli, Lexicon Abbreviaturarum: Dizionario di Abbreviature Latine ed Italiane, 7. ed. (Milano, 2011) [Amz (jp)]
  [1a] A. Cappelli, The Elements of Abbreviation in Medieval Latin Paleography. Tr. by D. Heimann and R. Kay (University of Kansas Publications, 1982 [University of Kansas])

 ラテン語の Abbreviation(省略形)を理解するうえで、カペッリの辞典 [1] は必携。この辞典の本文には Abbreviation のリストが数多く収録されていますが、意外に重要なのは Abbreviation の一般原則について述べた序文。原著はイタリア語で書かれていますが、その序文の英訳が [1a] になります。なお、現在ではチューリッヒ大学内のサイト Cappelli Online で検索可能です。

  [2] B・ビショッフ『西洋写本学』(佐藤彰一・瀬戸直彦訳、岩波書店、2015年)[Amz (jp)]

 邦語文献としては、翻訳になりますが、上記 [2] 216-229頁に Abbreviation のリストが掲載されています。また、古い Abbreviation の辞典はネットで無料で入手可能です [3.1-3.3] 。

  [3.1] J. L. Walther, Lexicon Diplomaticum (Göttingen, 1747) [GB]
  [3.2] W. Wattenbach, Anleitung zur Lateinischen Palaeographie, 4. Aufl. (Leibzig, 1886) [GB]
  [3.3] L.-A. Chassant, Dictionnaire des abréviations, 5. éd. (Paris, 1884) [GB]

 ここまではラテン語文献全般にかんする辞典ですが、法学文献に特化した Abbreviation の辞典としては下記 [4.1-4.2] があります。

  [4.1] E. Seckel, “Paläographie der juristischen Handschriften des 12. bis 15. und der juristischen Drucke des 15. und 16. Jahrhunderts,” Zeitschrift der Savigny-Stiftung für Rechtsgeschichte (Romanistische Abteilung), 45 (1925), S.1-16.(国内の大学図書館に所蔵あり [CiNii])
  [4.2] W. H. Bryson, Dictionary of Sigla and Abbreviations to and in Law Books Before 1607, 2nd ed. (William S Hein & Co, 1996) [Amz (jp)]

 

 ゼッケルの文献 [4.1] はわずか16頁の小冊子ですが、法学文献でよく使用される省略形が精選されており、きわめて有益。ブライソンの辞典 [4.2] で扱われる省略形はほぼ人名に限られますが(例えば Imo. が Johannes de Imola を指す等)、あれば安心といったところ。なお、この辞典の前半には後掲 [6.2] の英訳が収められています。


 最後に他のサイトへのリンクを貼っておきます。下記の国立国会図書館内の特設サイト [5] には Abbreviation についての情報が掲載されていて有意義です。

  [5]「インナキュブラ西洋印刷術の黎明」➔ 国立国会図書館(とりわけ「縮約形 (contraction) と略字 (abbreviation)」のページ)

 

◆ Allegation の参考文献について
  [6.1] 平野敏彦「市民法大全 (Corpus Iuris Civilis) と引照」広島法学37巻1号(2013年)422-391頁 [CiNii]
  [6.2] H. Kantorowicz, "Die Allegationen im späteren Mittelalter" in: Archiv für Urkundenforschung, 13 (1935)

 Abbreviation とはテーマが異なりますが、中世・近世の法学文献では Allegation(市民法大全・教会法大全およびその注釈書などの参照指示の方法)も重要となります。 現在の参照指示の方法とは異なるので最初は戸惑いますが、平野論文 [6.1] はカントロヴィッチの論文 [6.2] に依拠しながら、当時の参照指示のルールを初学者にも分かりやすく解説しています。

​以上

bottom of page